何度も繰り返し対象をデッサン、クロッキーをすると毎回描いた結果には差異が出ます。
繰り返し見続けること、描き続けることは、その空間を、紙上に線と色としてどのように配置するかの試行、実験の痕跡です。
実験を繰り返すことで細部、部分からその空間が線と色として暗記、記憶され全体が立ち上がってきます。
その経験の記憶、痕跡は現実をそのまま2次元化、なぞったものにはなりません。
絵画の起源の一つとしてナルキッソスの神話があります。
水面に映った自分を自分だと分からず、儚く触れると消えてしまう水面に映るイメージから目を離せず命を落としてしまうのは、 水面に映った鏡像との互いの視線の回路に閉じ込められてしまっているからだと考えます。
回路を破る行為が絵を描くことだと考えます。
私は自分が何を見ているのか絵を描くまでわかっていません。
「記憶の焦点」とは、見る行為と、そこから一旦目を外し、空間を何らかの自身の方法によって現実に定着させること、その往還によって、空間を暗譜すること、その暗譜の痕跡によって閉じられた回路から、他者へのアプローチ、またその装置たらんとする試みです。
Focus of memory:記憶の焦点 / Memorize the space scores:暗譜する
四睡図 / Fenggan, Han-shan and Shi-de having a nap with a tiger
2022
Focus of memory:記憶の焦点 / Memorize the space scores:暗譜する
マチス「 ダンス」 オマージュ
in tribute to Henri Matisse ”dance”
2022